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俺に再び明日は来るのか・・・?
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唐突ですが、なんとNew VMAXに試乗をさせてもらう機会を得ることができました。
恐らく日本で、いや世界でも始めてなんではないかと思いますが、
詳しい経緯は後で説明するとして、記憶が新鮮な内に
早速レポートを書いておきたいと思います。
残念ながら写真撮影はできなかったので文字だけでなんとかしてみます。

先週突然の連絡を受けた俺は、指定された夜10時に都内某所を訪れた。
当然ながらもう心臓バクバクで、
久しぶりに引っ張り出したヘルメットとライダースジャケットを手に、
夜とは言えまだまだ暑い中、電車で時間通りに指定された場所に到着。

そのおよそ10分後・・・・奴は目の前に現れた。

鈍い色の照明の下、ヌメっと黒光りする車体は想像していたより大きく感じられる。
特にタンク左右のエアダクトは先代とは比較にならない位大きく、見る者を威圧するかのようだ。

Nさんによる簡単な説明を受けながら車輌全体を見回してみる。
写真で見ていた以上に質感は高く、特にエンジンは素晴らしい出来だと思った。
その造形から否応無く力強さを感じさせられるだけでなく、
ブラックペイントにシルバーのボルトが配され、
さながらビンセントブラックシャドウを彷彿させるような美しさだ。

説明が終わり、Nさんから
「最後にひとつだけ」という前置きとともに
「スロットルは慎重に操作してください」という注意を受けた。

その一言で余計に緊張が走る。
「どんだけぇー」とか言いたくなるがそんな雰囲気ではなかったのでグッと我慢する。

そして夢にまでみたNew VMAXに、俺は跨った。

「完璧だ」

座ってみるとそのデザインには更に驚かされる。
左右に張り出したエアダクトからタンクカバー後端でギュッと絞り込まれたボディライン。
そして目に飛び込んでくるのは、あの大型タコメーター+シフトライトだ。
この辺の造り込みはさすがGKダイナミクスだ、と感嘆せざるを得ない。
座り心地は極めてしっくり来る。
身長173cmで決して足が長いとは言いがたい俺でも両足がベッタリ着く。
恐らく腿に当たる部分が絞り込まれているんだと思う。

キー・・・と言うよりもスイッチと呼んだほうがしっくりくるイグニッションをONの位置に捻る。

車輌全体に通電するような音と同時に
タコメーターの針は動作テストで一度大きく振り切った後、元の位置に戻った。
そしてタンク上の有機ELパネルに表示されるオレンジ色の文字。

「Time To Ride - This Is Vmax」

「生まれ変わった新生VMAX、お前に乗りこなせるのか?」
と聞かれたようでドキッとする。

グリップを握り、スタータースイッチを押し込んだ瞬間、
その獰猛な獣は大きく息を吐き出した。

震える車体の後方にある4本のマフラーからは咆哮を上がる。
これで、音量規制をクリアしているのか?と言うくらいの音量と
重低音で且つキレの良い排気音。
期待以上のデキだ。

聞いてみるとこの車輌は国内仕様なのだそうだ。
まぁ都内で乗ろうとしているんだからそりゃそうなんだろうが、
「ストック状態で良くこんな音が出せましたね」とNさんに聞くと
嬉しそうに“ニヤリ”とされた。

ヘルメットを被り、グローブを着ける。
両手でハンドルを握り、車体を左右に少し振って感触を確かめてみると、
その大きさにも関わらず、意外なほど重さを感じさせない。
恐らく徹底的なまでに低重心化され、マスを集中させた重量バランスと
要所要所に施された軽量化の恩恵なのだろう。

とても300kg以上の車重とは思えない。
それは・・・そう、重力の法則を無視してダンスするパパイヤ鈴木とか・・・
・・・あまり良くない例えだった・・・。そんなことはどうでもいい。

既にある程度エンジンは暖まっていたようだし、
そもそもフュエルインジェクションなのだから暖機はさほど必要ないだろうと判断し、
俺は軽いクラッチレバーを握り、シフトペダルを踏み込み1速に入れた。
有機ELパネルのシフト表示がNから1に変わり、タコメーター下部のグリーンのランプが消えた。

Nさんに目で合図をし、軽く会釈をした上で
俺はクラッチをミートさせ、スロットルを開けた。
軽く「キュッ!」と、リヤタイヤを鳴らしながら
想像以上の「軽さ」を感じさせながら走り出した。

勿論この車輌が軽い訳は無い。
有り得ないほど太いトルクと、
リヤタイヤの高いグリップがそう感じさせるだけだ。

首都高の下、オレンジに照らされた国道に出ると、
さっきNさんから注意を受けたように、
ゆっくりと慎重にスロットルを開けていった。

エンジンからは激しい鼓動を感じる。
1気筒あたり約420ccのシリンダーで爆発が起きる度に
ドン!という振動と、路面に伝わる圧力にも似た駆動力。
ハイグリップタイヤを与えられた足で爆発の度に地面を蹴る様な感覚。
鼓動を感じつつ、滑らかにそして激しく加速する、
直4ともVツインとも違う、V4エンジンならではの加速感!

そうなんだよ!これこそがVMAXなんだよ!
と、思わず言いたくなってしまう。

しかしその加速感は先代VMAXと通じてはいるものの、
明らかに次元の違うものだった。

ハイグリップタイヤと、高レベルな前後サスペンションによる路面追従性。
そして何よりも1700ccのエンジンが搾り出す呆れるほどのパワー。

路面に吸い付いているかのような安定感を持ちながら、
凄まじいパワーを100%全て路面に伝え、
300kg超の車体を蹴飛ばすように前へと押し出して行く。
そんな感覚だ。

先代VMAXで感じられた不安定さは微塵も無いが、
そのジャジャ馬ぶりは引けを取らない。
アップライトなポジションのせいもあるが、
油断をすると身体が置いていかれそうな程だ。

しかも、その凄まじさには更に次のステージが待っている。
言うまでも無く、電子制御可変ファンネルによる二次加速だ。
先代におけるV-BOOSTに代わる
21世紀のVMAXに与えられたアイデンティティーが、このギミック“YCC-I”だ。

強烈な加速をしているその最中に、
タコメーターの針が7000回転辺りに差し掛かったその刹那、
瞬間的にその加速は更に鋭さを増す!
ナタをイメージさせるような太い加速から、日本刀のような鋭い加速へ。
ダクトからのシュゴォッ!という吸気音とともに、
エンジンのメカニカルノイズと排気音も激しく鋭く変化する。

先代VMAXを超える鋭い加速にも
不思議と恐怖を感じないのは、やはり別次元の安定感のせいか?

加速の変化から数秒でレッドゾーンまで振り切ってしまい、
青白いシフトランプが闇に光る。

一般道では物足りなさを感じ始めた俺は、環八から第三京浜に向かった。
平日夜の第三京浜はお誂え向きのステージだろう。

黒く真っ直ぐに伸びる第三京浜で、再度YCC-Iの威力を確かめた。
3速まで落として一気にスロットルを開けると、
すぐさま激しい咆哮を上げ、100km/hからでもタイヤが鳴りそうな加速を始める。
瞬く間に4速、5速とシフトアップしたが、
5速ではYCC-Iが作動する前に
デジタル表示の速度計は1?0km/h前後でチラついた。
スピードリミッターが作動し、息切れするようにスピードが伸びなくなる。
前方に見えたトラックが一瞬の内に左右へ消えていくような速度域だが、
高速巡航でも挙動は驚くほど安定し、車線を縫いながらの走行も難なくこなす。
フワつく先代VMAXでの走りが懐かしく感じてしまうほど別物だ。

20年の歳月はこれほどまでに変化をもたらすのか、と
密かに感動に浸っているうちに、
やはりこうなると峠での走りも試してみたくなってくる。

車輌は明日の朝10時に返却すれば良い手筈となっているので
時間はたっぷりある。
というか実は最初からそのつもりでルートは決めてあったりするのだ。

向かうのは、箱根ターンパイク(TOYO TIRES ターンパイク)だ。

早川の料金所を抜け、真っ直ぐで長い上り坂を目の前にすると
やはり気分が昂ぶって来る。

先代VMAXでもそうだったが、
分厚いトルクで登りの峠をグイグイ攻めていくのが
ビッグバイクの愉しみの一つだ。
反面、下りでは止まらない上に曲がらないので
とても攻める、とは言えない走りになるが・・・。

俺はひと呼吸おくと、一気に坂を駆け上がり始めた。

圧倒的なまでのトルクはこの程度のヒルクライムコースでは役不足な程だ。
一気に登りつめ、次から次へとコーナーを攻める。

驚くほどによく動く前後サスペンションは、
「鈍感力」に自信のある俺でも違いが判るほどだ。
ブレーキングし、フロントを沈めた状態でバンクさせ、インにグッと切れ込み、
そこからスロットルを開けて前後サスを使いながら立ち上がっていく。
そんな挙動が俺のような素人でも楽しめるのだから
サスだけでなく車体の方も相当なレベルなのだろうな、
と思いながら、
いつの間にかコーナーをクリアすることに夢中になっていた。

頂上の大観山展望台に着くと、ようやく休憩することを思いついた。
東京で車輌を借り出してから走りっぱなしだったのだ。

甘い缶コーヒーを飲みながらここまでの道のりを回想する。

面白い。
単に先代譲りのキャラクターを昇華させただけでなく、
コイツはとてつもない性能を秘めながらも懐が深い・・・そう、実にコントローラブルなのだ。
そのとてつもない性能をフルに引き出すために
電子制御という利器をふんだんに採用してはいるが、
それは自己主張しすぎず、目に見えない所で絶妙な味わいを演出する。
機械が大部分を制御していることを意識させずに、
ライダー本人がコントロールしているかのような自然でシンプルな操作感覚を与えるのだ。
これって相当すごいことだよな~。
とかなんとか良く判っていないくせに一人で勝手に感心しながら、
気持ちは既にダウンヒルにトライしてみたくて、うずうずし始めていた。

先代VMAXで峠の下りを攻めることは「恐怖」と隣り合わせの拷問みたいなものである。
重い車体に対してあまりに貧弱なブレーキ、浅いバンク角、
ヨレるフレームに、ローグリップな細いバイアスタイヤ・・・・・。

そもそも300kgを超える新型VMAXも
峠の下りを攻めるような車輌では無いことは明白だが、
その性能を比較する上で、違いが歴然と現れるのが
ダウンヒルでの走りであろうことは予想に易い。

再びNew VMAXに火を入れた俺は、
たった今登ってきたばかりのターンパイクを下っていった。

慎重に、試すようにペースを上げて行く。
調子が乗ってきたところで
ややキツめの右コーナーを目前に控える。

よし。

およそ80km/hの速度から一気にシフトダウン。
エンジンブレーキでバックトルクが発生するが、
スリッパークラッチのお陰かリヤの挙動に乱れは無い。
そしてほぼ同時に力任せにフルブレーキングしてみた。
フロントが一気に沈み込み、制動しつつも微妙な動きを見せる。
ABSが効いているのか?
想定していたクリッピングポイントよりも、かなり手前で減速が済んでしまい、
バンクしたまま低速から右前方へと落ちるように
一気に加速しコーナーを立ち上がり始めたその時!!!

ライン上にブルーに光る何かが見えた!

!!!!!!!!!!!

あのイガグリ頭のイラストは!

・・・・・・・・・「ガリガリ君ソーダ味」(の袋)!!!

------昔は確か1本30円だったが、今はいくらするんだ?

いや、そうじゃない!何故こんなところにアイスの袋が?!


避けるラインを探すが、
ふくらんでしまったラインの左側はガードレール一杯でアウト側に避けることはできそうにない!
俺は渾身の力を込めてイン側に身体を落とし込む。


迫るガリガリ君(ソーダ味)!

------俺は個人的には三色トリオの方が好きだったぜ!

餅つけ!いや、落ち着け俺!今はそんなことを考えてる場合ではない!


かろうじてフロントタイヤは間一髪、右に逸れた!
リヤを乗せずに済むか?!

右ヒジが路面に触れるほどハングオンし、
アルミ製のステップからは火花が散る。
垂直に近い荷重がかかり、サスペンションはフルボトムに近い状態だ。


リヤタイヤに迫るガリガリ君(ソーダ味)のイガグリ頭!

------うまか棒(うまい棒ではない)ってアイスはまだ売ってるのか?
------ガリガリ君コーラ味も美味しいよな!
------ちなみにガリガリ君の妹の名前はガリ子ちゃんだ!
------ついでに弟はソフト君って言うらしいぞ!(なんじゃそりゃ!)

新型VMAXのECUにおける演算処理さながらに
一瞬のうちに、走馬灯の如く様々な思考が頭を駆け巡る!
その間、わずか1/10000秒。

------------!!!

しかし、その努力も空しく
ガリガリ君の灰色のイガグリ頭を
極太ラジアルタイヤは、そのエッジ近くで踏みつけた--------

ザッー!!
横に滑ったリヤタイヤは、一瞬の後、強力なグリップを取り戻した。

ハイサイド・・・・!?

フルバンクしていた状態から、
強烈な力で反対側に引き起こされた車体と俺は、気づいた時には暗闇を舞っていた。


ゆっくりと回転しながら、目の前に宙を舞うVMAXが見え、
更にその向こうに暗い路面が天地逆さまに見えた。


ガッ!!

目の前にイガグリ頭が迫り、
フラッシュを浴びたように視界が真っ白になる。

い、痛ぇ・・・・!

鼻がツーンと痛くなる。
不思議と身体は何も感じない。

イガグリ頭・・・?
メット被ってるのに何で鼻だけが痛いのだ?

目を開けると視界には、やはりイガグリ頭があった。

・・・・俺の息子(3歳)の頭だった。

俺の息子は俺に似て頭がデカイ。(俺のヘルメットはXLだ)
しかもデカイ上に超・石頭だ。
そして寝相がすごく悪い。
更に3歳児のくせに大人並みの歯ぎしりもするのだ。
それは今は関係ないか。

布団から起き上がって鼻に手をやる。
どうやら鼻血は出ていないようだ。


・・・・・今日も寝る前に新型VMAXのビデオやら雑誌やらを見ていたせいだろうか?
最後のコケるところは、MotoGPのロレンゾの転倒シーンが元ネタか?

まあいずれにしろ、なかなか面白い夢ではあった。

だがひとつ納得が行かないことがある。
いくらなんでも、箱根の山道の途中で
ガリガリ君ソーダ味の袋を捨てるような悪い奴はいないだろう・・・・。
いや、そう願いたいものだ・・・。

~つづく~

いや、続かないっす・・・・・。

激しく長く、そして激しくクダらないネタで申し訳ありません!!
当たり前ですが、全てフィクション・単なるネタであります!
どうしようもなく適当に書いてるのでツっこまないでください!


でも、こんな感じの乗り味・フィーリングだったらイイなぁ~というのを
股間・・・じゃなかった、想像を膨らませて書いてみました。
こんなだったら200万借金してでも買いたいかもなー。
どうですかー?お客さん!

ハッハッハッ!・・・・・・・・ハァ~・・・・orz
またつまらぬことをしてしまった・・・・・。

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